ASD(自閉症スペクトラム)の方々が必要とするライフステージ別のサポートとは

Giftedの概要

どうも、Marco-porkです。

最近は本業の仕事がやたら多く、ブログ更新が滞っております。まぁ、誰と勝負しているわけでもないですが。仕事が多いとは有り難い話ですが、勤め先の会社が潰れるのではないかと危惧はしています。潰れないように皆必死です。私含めて( ̄∇ ̄;)ハハハ。誰か何とかしてくれ。

先日Twitterでつぶやいた以下の研究結果について、大まかに紹介しておこうかと思います。

厚生労働科学研究の研究結果
ライフステージに応じた自閉症スペクトラム者に対する支援の手引き
国立障害者リハビリテーションセンター 発達障害情報・支援センター

※これは平成19年ー21年:2007ー2009年に、厚生労働省主体の研究事業で行われた、「ASD(自閉症スペクトラム)に対する支援の在り方に関する研究」の報告別冊としてまとめられています。

この文書では大まかに5つの構成になっています。以下は各項のタイトルではなく、内容を把握したうえで私が整理している言葉ですので、悪しからず。

  • ASD(自閉症スペクトラム)とは
  • 結論と背景データ
  • ライフステージ別のサポートの理由とポイント
  • ASD女性の結婚・出産・育児
  • ASDの問題となる行動や特徴

文書内の各項のタイトルと内容が合っていないため、かなり読みにくいです。記載内容と目的も、章によってまちまちで、「支援の手引き」として纏まっていない印象を受けました。

「ASDとは」という内容は割愛し、今回は「背景となるデータ」と「ライフステージ別のサポートの理由とポイント」についてまとめていきたいと思います。

結論

「ASDの人々に対する支援は、早期幼児段階からはじめ、ライフステージ(幼児~成人の各段階)に応じて形を変えながら、途切れることなく続くことが望ましい」とされています。

およそ13年前の文書になるためか、専門家や当事者に対しては少々情報不足な点は否めません。
また、ASDのサポート方法については、あまり具体的とはなっていません。

ですが、当事者ではない一般の方々が思う「ASDの人へのサポートがなぜ必要なのか」「どのような観点が必要なのか」という問いに対してライフステージ別に一定の回答ができる内容が紹介されていました。

背景データ

ASDの人が社会参加をする観点から、サポートの意義を特定するため、ASDの方にアンケートが実施され、分析されています。

統計的に優位な差(意味のある差)は無いデータであり、結果の解釈には十分に注意する必要があるとしながら、以下の項目では、成人後の社会参加が良好な傾向となっているようです。

  • 就学頃の言葉の出方に関わらず、就学前から中学校時代まで何らかの継続した支援がある
  • 就学頃の言葉の出方に関わらず、母親の助けがある
  • 就学頃に言葉の発達が十分でない人では、父親の助けがある
  • 就学頃に文章が話せた人の中で、4歳前に診断を受けた人

これらの要因は上記に示すような単純なものではなく、背景などの詳細分析をすると、因果関係は示されておらず、n数(分析対象人数)が十分でなかった可能性もあるとのこと。

なお、対象となっている人数は日本全国の581人のASDの方になっています。

診断前のサポート

ASDをご存じない方からしたら『診断前=決定前なのに、何をサポートするんだ?』と思われるかも知れません。病気であれば、病院での診断後に治療となるため、どうしても決定後のイメージがあるのは分かりますが、ASDはそもそも病気ではありません。機能障害にあたります。当然ながら、診断前から症状は出ています。

この文書では、診断前のサポートは、「親子関係へのサポートにある」と紹介されています。

というのも、自分の子どもにASD傾向があれば、親は必ず違和感を感じます。他の子どもとうまく遊べなかったり、ヒドい癇癪を起したり、偏食が酷かったり、目が合わなかったり、手をつないでくれなかったり…

この際に、ASDという存在を知らなかった場合、「なぜ他の子はできるのに、自分の子はできないのか」「私の育て方が悪いのか」と比較し、子ども本人や親自身が自分を責めたりします。ウチもそうでした。

また、ASDを知っていたとしても、自分の子どもがそうであることを受け入れることは簡単ではありません。戸惑い、自分を責めたり、途方にくれたりします。

このような不安の中で親のみで子育てすると、親子関係の悪化は避けられません。そして親子関係が悪化すると、ASD症状の改善に向けた活動は困難を極めるでしょう。

親子関係を良好に保てるかどうかは、家族や親せきだけではなく、「地域資源・地域連携」、つまり親の相談先=幼稚園、保育園、保健師、子育て支援センターや医師などが必要です。なぜなら、家族や親せきもまた、ASD知識が乏しいことが想定されるからです。

また、これら違った専門家で子どもの特性を共有するためには「相談支援ファイル(子どもの特徴や好き嫌いなどを記載したファイル)」などの作成も有効とされています。

基礎的な子育て支援が無ければ、ASDサポートは成り立たないと思います。

幼児期

ASDの発見・サポートは早期であることが重要とされており、この理由としては2つあげられています。

  • ASDの特性に合わせた育児により、本人が不必要な心的負担を受けずに済む
  • 親が心理的負担から早く抜け出し、見通しと意欲を持って育児にあたることができる

私の様にASDをよく知らなった人間からすると、娘が3歳になる前から「ASDの可能性が医師によって示唆される」ことは決してマイナスではなかったと思います(うちの場合は3歳前に診断されたのですが)。

もちろん、症状の出方は人それぞれですし、置かれている社会環境や、この文書にも紹介される「早ければ早いほど確実さが低下するという二律背反の問題」があるため、早くASD診断がある方がよい、と言っているのではありません。

親や周囲が、ASD特性がありそうなことを理解し、必要な情報を得ることで、適切で心が楽になる育児に繋げられる可能性が高まる、と考えるとよいのではないかと思います。

学童期

学童期は青年期・成人期に向けた準備段階の位置づけです。幼児期とは違い、より多くの社会性(スケジュール変更への適応、自分の感情の抑制や他人の気持ちを推し量る人間関係の調整 など)を身に着けていく時期になります。

ASDの特性上、予定変更や他人の気持ちを推し量ること、自分の気持ちを伝えることが苦手なことが多いため、特性を理解しながら、無理のない範囲で適応をサポートしていく必要があります。

この時期のサポートとして特に重要なポイントとしては以下が紹介されています。

  • ケース会議(各分野の専門家、保護者、教師の会議)
  • 成功体験の積み重ね
  • 環境的支援と個人の適応スキルの獲得
  • 支援の目標設定、実践、その評価

先述の通り、具体的な方法は記載されておらず、何故これが必要なのかも記載されていないため、「手引き」としては情報不足でした(興味のある方は読んでいただければと思います)。

青年期・成人期

この項では主に面接を実施する際のポイントが解説されています(唐突に…)。

「面接」とは学校の入学や会社の入社でもありますが、セラピストのカウンセリングや、グループ支援、職業訓練、医師の診察、会社での会議など、さまざまなケースに対してのことを指しているようです。また、面接を受ける側(ASD本人や家族)と面接を行う側(会社、学校、施設)それぞれで注意が必要なポイントが解説されています(順不同で…読みにくい…)。

  • 面接の時間帯の工夫(睡眠障害を伴う場合や日課にこだわりがある場合)
  • 交通手段や面接を予約・キャンセルする場合の方法
  • 面接室の壁紙や装飾、塗料の臭い
  • 具体的で簡潔な言葉遣い(曖昧な表現やほほえみは誤解を生む)
  • クライエントが取り組みやすい話題や交流様式の活用
  • 中立性にこだわらないプレイフルな雰囲気
  • 他者の反応の意味などを分かりやすく説明するような心理教育的(?)アプローチ
  • 治療者・援助者の考えや感情を積極的に伝えること、他者の心を意識敵るように働きかけること

まとめ:感想

「ASDの人々に対する支援は、早期幼児段階からはじめ、ライフステージ(幼児~成人の各段階)に応じて形を変えながら、途切れることなく続くことが望ましい」と結論づけることは、私たち当事者からすると当然のことの様に思います。文書を読む限り、この結論ありきで文書が記載されているようにも思いました。

しかし、多数派である健常者にとっては「どのくらいのサポートが、いつまで必要なのか」という疑問は生まれます。「サポートする側」と「サポートされる側」という構図が生まれることで、お互いの立場でお互いの思いが生まれることは、人間であれば自然なことです。

ですが、障害の有無にかかわらず、サポートが不要な人間は、存在するのでしょうか。支え合いが人間の本質であるならば、ASDを含む発達障害の方への適切なサポートはまた本質的なことであり、適切なサポートを行うことで、社会参加が可能となり、今度はサポートする側に廻ることができる。その循環こそが本来のあるべき姿だと私は考えます。

残念ながら今回の文書は、タイトルや結論に対して十分な根拠が示されていません。情報不足感や納得の希薄さは否めませんが、一種のデータの記載があること、また、健常者に対しての一定の情報共有にはなっていること、そして内容そのものは(ケースバイケースで)現在でも有用であることなどを踏まえれば、13年前の公開は有意義だったのではないかと思います。

紹介しきれなかった、「ASD女性の結婚・出産・育児」「ASDの問題となる行動や特徴」については、比較的読みやすかったので、ぜひ読んでいただければと思います。

以上、報告失礼しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました