どうも、Marco-porkです。
最近、「コーチングよりも大切なカウンセリングの技術」という本を読みました。こちらの本、なかなかおススメで、特にコミュニケーションに難があるとき、一つの技術(テクニック)として、自分の引き出しにもって置けば活用できそうです。
今回の本は「発達障害が理解できない」「コミュニケーションが取りづらい」と考えられている親御さんの参考にもなりそうだと思って紹介するしだいです。
本を読む前の私
この本は、Gifted関連本ではありません。仕事のスキルUPを目指す、自己啓発本の類です。
日本では「カウンセリング」があまり定着しておらず、私は「カウンセリング」の役割がいまいちわかりませんでした。
私もメンタル的に追い込まれたことがあり、カウンセリングを受けたこともあったのですが、「この人たちは話を聞くだけで何の役にも立たないな」と思っていました(カウンセラーの方、スミマセン‼)
そんな私のイメージが払拭された一冊です。
本の概要
一部マンガで描いてあり、可能な限り優しい言葉で書いてある印象です。読みやすいです。
一つの会社が舞台で、過去にメンタルを壊したことをきっかけに、カウンセリング技術を学んだ「ココロさん」が、同僚から受ける悩み相談の場において、カウンセリング技術を使いながら心のモヤモヤをスッキリさせる、というストーリーのマンガが掴みになっています。
そのストーリーは何気なく読めるもので、誰でも共感できるシチュエーションになっています。
- 在宅勤務でコミュニケーションが取り難く、プライベートと仕事の時間境界があいまいになって、夜中まで自分で仕事を抱えこみ、結果睡眠不足で仕事が辛くなる
- 在宅勤務で、奥さんの怒ってばかりの子育て状況を目の当たりにし、自分もイライラ
- 部下が子育てに忙しく帰ってしまうが、仕事は残っているので自分で抱え込む
- 人事異動で自分のチームのエースが引き抜かれてイライラ
このマンガで使われているカウンセリングの技術が後述で解説されており、実はマンガの言葉の節々に工夫が凝らされていることに驚きます。
また、カウンセリングの基礎となる心理学の概要も紹介されており、テクニックだけではなく、基本的な考え方のベースにも触れることができます。
「カウンセリングの目的は問題解決ではない」には頭打たれました。
心理学と進化学
この本には心理学の基礎となっているものがいくつか紹介されていますが、その中に「アドラー心理学」があります。
自己啓発本を読まれている方なら、「アドラー心理学か!知ってるよ!」と思われる方も多くおられると思いますが、まぁ、お付き合いください。
この本で紹介されているのは「人間の行動は、すべて所属するためにある」ということです。
これを聞いて、ピンときました。進化学です。
生き物には生存戦略(ヒトならヒト、イワシならイワシ、カブトムシならカブトムシが、この先何千年も生き残り続けるための戦略)があります。生存戦略に従って、体の構造や機能を変えてきたわけです。
ヒトの生存戦略はいくつか考えられていますが、その中でもとりわけ今回の内容に繋がるのが、社会の形成と拡大です。つまり、個々の個体が強くなることよりも、社会全体を育てることで環境に適応し、種を残そうとする戦略です。
ヒトは、一対一なら他の動物にはなかなか勝てないですよね(武器の使用は禁止です。戦争反対!)
で、話を戻すと、「人間の行動は、すべて所属するためにある」は進化学の観点から見ても当然なんです。生き残る戦略として、つまり遺伝子レベルで、「社会の形成」=「生き残るための術」なのですから、「所属」それはつまり「社会への所属」は、「生き残ることができる」という生物としての究極の安心に繋がっているわけです。
「社会」というと会社やら学校やらの組織を思い浮かべがちですが、家族も最小単位の「社会」です。
「社会なんて嫌いだ、一人で生きていける」という人は居ないはずです。衣食住から何からすべて一人でやることが、生まれた時からできている!というそこのあなた。そんなあなたは、おそらく魚か何かです!
カウンセリング技術の本質とは
以下は私の解釈です。
この『所属する』という安心は、ヒトであれば簡単に崩れます。ヒトは『予測』ができるからです。
サルはせいぜい2時間先のことしか予想できないそうですが、ヒトは違います。いろいろなことを予測し、想像ができます。これが強みでもあり、弱みでもあります。
『本当は●●という行動をしたいけど、嫌われるかも知れない』『自分が問題と思っていることはあるけど、頑張ってもどうせ無駄』など、『自分の所属場所が無くなる』という恐怖から身動きが取れなかったり、解決のアイディアが浮かばなかったりします。
所属が満たされないことで、不安やモヤモヤの感情が先行し、問題解決どころではなくなっている、つまりコーチングやティーチングが十分な意味をなさない状態に陥っていることになります。
また、自分が所属していたい場所がどこなのか、自分でもわからないケースが往々にしてあります。
この『所属することへの安心』を取り戻す技術が、カウンセリングの技術、というわけです。
カウンセリングによって『どこに所属していたいのか(何が欲しかったのか)』を言語化していくと、自分の中で感情の整理がつき不思議と問題解決に移行できるようになるとのこと。
この本では、仕事現場で生かすことができるように、具体的なカウンセリング手順の一例も記載があります。
- 壁になる
- エピソードを聞く
- 感情に共感する
- 信念・価値観に共感する
ちょっと覚えておくと、問題解決を目的としていない雑談などでも使えそうで、コミュニケーションも円滑になりそうだと感じています。
問題解決の前にやるべきこと
私は今まで、人から悩みを聞いたとき、『問題を解決したいんだな』と思い、問題解決のアイディアを提示するようにしていました。心に響かなくても、何かのヒントにはなるだろうと、良かれと思ってました。
しかし、『所属はヒトとしての究極の安心』『人が悩んでいるときは、問題解決(コーチングやティーチング)よりも、まずは悩みの言語化と共感』ということを念頭に置くと、私が今まで人にやってきたことは、単なる突き放しでしかありませんでした。
その人が本当は何が嫌なのか、問題を口にしていても、その問題のせいで何が起きているのか、を聞く力が足りなかったと思います。
この本を読んでよかったと思います。いきなりはできませんが、少しずつ、実践していきたいと思います。
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